GDMTは Guideline-directed Medical Therapy の略で、診療ガイドラインに基づく標準的治療の意味。
用語としては主に心不全の治療において使用される。
日本循環器学会の「2021年 JCS/JHFS ガイドライン フォー カスアップデート版 急性・慢性心不全診療」によれば、駆出率の低下した心不全(HFrEF)への基本治療は以下3剤となっている。
- ACE阻害薬/ARB
- β遮断薬
- MRA
このうちACE阻害薬/ARB+β遮断薬は予後改善が示されており、忍容性がある限り最大限用いることが重要となる。
また、効果が不十分な場合にはACE阻害薬/ARBをARNIへ切り替えることの他、どのような場合にSGLT2阻害薬やイバブラジンを導入するのかなど、AからDまである心不全のステージに沿ってガイドラインでは推奨治療を示している。
日本の患者1万3千人を調査したレジストリ研究(Clinical Characteristics and Outcomes of Hospitalized Patients With Heart Failure From the Large-Scale Japanese Registry Of Acute Decomp , Circulation Journal Vol.85, September 2021)では、心不全治療後退院時にACE阻害薬/ARB を投薬されている患者が65.9%、β阻害薬が63.7%、MRAが50.9%と、必ずしもGDMTに沿った治療が実施されていないことが示されている。