一定の期間内であれば再診なしに薬の処方を受けられる仕組み。
リフィル(refill)は「詰め替え」や「補充」を意味する。
アメリカ、イギリス、フランス、オーストラリアなどですでに導入されていることもあり、日本でも2010年頃には導入についての議論が始まっていた。
2021年6月、政府の骨太の方針にリフィル処方箋が盛り込まれると、同年12月には翌年の診療報酬改定で導入することが決定した。
導入されると、患者は処方箋を一度薬局に提出すればその処方箋で繰り返し調剤を受けることができるようになる。
ただし、処方箋をリフィルするには一定の条件が設けられる。2022年3月上旬時点までの議論で以下のようになっている。
- 1処方あたりリフィルは3回まで
- 日数制限のある薬剤は不可
- 湿布薬不可
- 症状が安定している
- リフィル処方箋による調剤は同一の薬局で行うべきである旨の患者への説明
- 薬剤師が調剤した内容や患者の服薬状況などについて必要に応じて処方医に情報提供を行う
メリット
これまで患者は処方箋を受け取るためには診療がセットになっている必要があった。リフィル処方箋の場合は、一定期間は診療が不要となり医療機関への通院回数を減らすことができる。それにより、
- 患者:医療機関受診の金銭的負担の減少
- 患者:コロナ禍における他者との接触機会の減少
- 医師:診療時間の短縮あるいは一人の患者の診療時間増
- 患者と医師:手間の減少
- 薬剤師:職能発揮の機会が増える
などが期待できる。
デメリット
要件が決定していないため具体的なデメリットはまだ上げられない状況だが、予想としては、
- 患者と医師:受診機会が減少したことにより患者の状態変化に気付きにくくなる
- 医師:医業収益の減少
- その他:悪用の恐れ(医薬品転売など)
などが考えられる。
まだ、デメリットではないが、医師が認めなければ患者はリフィルを利用できないといった利用への壁ができる可能性もある。
これまでの流れ
2010年 チーム医療の推進に関する検討会でリフィル処方箋提案
2014年 経済財政運営と改革の基本方針にリフィル処方箋が盛り込まれる
2015年 規制改革実施計画 リフィル処方箋導入についての検討を加速と記載
2016年 診療報酬改定 分割調剤導入(日本医師会などの反対もあり、リフィル処方箋は時期尚早とされた)
2021年 政府の骨太の方針にリフィル処方箋が盛り込まれる
2022年 診療報酬改定で導入