具体的には医師と薬剤師があらかじめ契約を交わし、医師の処方権の一部を薬剤師に移譲することを指します。
1970年代にアメリカで始まった制度ですが、このCDTMに基づいた取り組みが近年日本でも始まっています。
ただし、日本でCDTMと呼ばれて行われていることは正確には「CDTMのようなもの」です。見落とされがちですがアメリカでのCDTMは法規に基づいて制度化されたものであり、この法規にあたる部分が日本にありません(厚労省通知あり、記事下参照)。
日本で行われている取り組みは「日本版CDTM」と呼ばれることもあります。
CDTMはアメリカの制度
州ごとに制度化、州薬事委員会へのプロトコール提出も
アメリカにおけるCDTMは州単位で制度化されているものです。そのため州によって差異はありますがより厳格な管理をしている州では医師と薬剤師の契約内容をプロトコール化し、州薬事委員会に提出しなければならないとしています。
日本での取り組み
日本でもCDTMのような取り組みが広がりつつあります。
京都大学病院では「PBPM」と称し近隣薬局と合意書を交わす形で日本版CDTMを実施しています。
【京都大学病院】疑義照会不要項目を策定‐近隣10薬局と合意書
京都大学病院は23日から、同院と合意書を交わした薬局を対象に、事前に取り決めた八つの事項については院外処方箋調剤時の疑義照会を不要とする運用を開始した。剤形変更や規格変更、一包化など調剤上の変更に該当する事項の判断は、薬局薬剤師に委ねる。疑義照会の手間を減らして、医師や薬局薬剤師が本来の業務に集中しやすくし、医療の質や患者のQOL向上につなげるのが狙い。薬局薬剤師には、外来患者のチーム医療の一員としての役割を強く求める考えだ。
この取り組みは、米国の医師と薬剤師の契約による共同薬物治療管理(CDTM)を参考にした「プロトコルに基づく薬物治療管理」(PBPM)の一環として実施するもの。同院の病院長と薬局の代表者が合意書を交わして実行する。
薬事日報 http://www.yakuji.co.jp/entry33357.html
平成22年の厚生労働省医政局長通知
薬剤師が医師に疑義照会せずに処方に関与できるというこれまでになかったこれらの取り組みは法的には問題が無いのでしょうか?
平成22年4月30日に「医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について」として厚生労働省医政局長通知が発出されました。
この通知の中で薬剤師ができる業務として
「薬剤の種類、投与量、投与方法、投与期間等の変更や検査のオーダについて、医師・薬剤師等により事前に作成・合意されたプロトコールに基づき、専門的知見の活用を通じて、医師等と協働して実施すること。」
が挙げられています。
事前のプロトコールに基づき薬剤師が薬剤を修正したりオーダできるとされており、日本版CDTMの取り組みはこの通知に基づいています。
逆に言えば、この通知が発出されたことで日本版CDTMの取り組みが加速したともいえます。
現在のところ日本にはアメリカの州薬事委員会のようにプロトコールをチェックする機関がありません。
今後はプロトコール内容のチェックや公開といった部分が必要になってくると思われます。