スボレキサント(販売名:ベルソムラ錠)が8月1日の薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会で承認されました。
効能・効果は不眠症ですが、このスボレキサントはオレキシンの阻害という全く新しい作用機序で不眠症を改善するとされています。
オレキシン
オレキシンは日本人が発見した神経ペプチドの一種です。
発見当初は摂食に関連する神経物質として研究されていました。
実際にマウスを絶食させるとオレキシンの発現が亢進したり、脳室内にオレキシンを投与すると摂食量が上がることがわかっています。
その後の研究で、オレキシンが正常に働かないことがナルコレプシーの原因となることが明らかになり、睡眠・覚醒との強い関連性がわかってきました。
オレキシンの阻害
これまでの睡眠導入剤は中枢抑制系の亢進がメインでした。
ですがオレキシンは中枢神経を覚醒する系統なので、オレキシン阻害薬は神経興奮系の抑制として働きます。
新規作用機序ということから、
- おくすり選択の幅が広がる
- これまでのおくすりが効きにくかった患者さんにも効果が期待できる
といったメリットが考えられます。
逆にデメリットとして新規作用機序であるためこれまでにない副作用が現れる可能性が考えられます。