ソブリアード(シメプレビル)カプセル100mg ヤンセンファーマ
開発経緯
ヤンセンが開発を行い、発売は日本が世界に先駆けて、という形になりました。
保険や助成金の充実から、日本ではC型肝炎の治療を進めやすいことが背景にあるようです。
特徴
CONCERTO試験で示された良好な治療成績が特徴です。
CONCERTO-1試験 | シメプレビル(ソブリアード)+Peg-IFNα-2a(ペガシス)+リバビリン(コペガス)の3剤併用療法
具体的には、
- 既存治療が効きにくい場合や、再燃した場合にも効果が期待できる
- 年齢による効果の差が少ない
- IL28B遺伝子多型がマイナーアレル(TGまたはTT)の場合でも高い効果(SVR24率78%)
- 高い治療完遂率(91.9%)
などが挙げられます。
適応
セログループ1(ジェノタイプⅠ(1a)又はⅡ(1b))のC型慢性肝炎における次のいずれかのウイルス血症の改善
- 血中HCV RNA量が高値の未治療患者
- インターフェロンを含む治療で無効又は再燃となった患者
2.は、テラビック(テラプレビル)での治療も含みます。
用法
ペグインターフェロン+リバビリン+ソブリアードの3剤併用を12週間、その後ソブリアードを抜いた2剤併用を12週間継続します。
ソブリアードと併用するペグインターフェロン+リバビリンは、ペガシス(PegIFNα-2a)+コペガスでも、ペグイントロン(PegIFNα-2b)+レベトールでも、いずれも適応となります。
また、効果不十分の際は、ペグインターフェロン+リバビリンの2剤併用療法を48週まで延長できます。
効果不十分かどうかは、治療開始後4週時点でのウイルス量が目安になります。治療が良好な患者さんは開始4週までに血中ウイルスが大幅に減少することが多く、逆にこの時点でウイルスが多く残っていると再燃しやすい症例ということになります。
ただし、2剤併用の延長は、副作用、費用の面でも考慮が必要です。
作用機序
テラプレビル(テラビック)と同じく、NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤に分類されます。HCV増殖に必要なNS3/4Aセリンプロテアーゼを阻害することで効果を発揮します。
テラプレビルとの違い
- テラプレビルが直線状の分子であるのに対し、シメプレビルは大環状
- 環状構造がNS3/4Aセリンプロテアーゼに高い親和性で結合する
- 上記の親和性により、少ない量でも効果が認められる(投与量を抑えられている)
- 投与量を抑えたことにより副作用が軽減されている
内服方法
1日1回1カプセルを内服します。
吸収における食事の影響はありませんので、自由なタイミングで内服できます。
ですが、3剤併用ですので、リバビリン(レベトール、コペガス)の内服タイミングと合わせるのが飲み忘れ防止の面からも良いと思われます。また、飲み忘れた場合は、本来の内服タイミングの12時間後までであれば飲んでかまいません。
カプセルは大きく(1号カプセル:レベトールカプセルと同じ大きさ)人によっては飲みにくいかもしれません。
脱カプセルはできません。(必ず併用するリバビリンが粉砕・脱カプセル不可であり、最初から検討されていません)
副作用
ソブリアード自体の副作用は少ないとされています。
ですが、併用するぺクインターフェロンとリバビリンが非常に注意点の多いおくすりですので、注意が必要です。
ソブリアード特有の副作用として「ビリルビン上昇」「光線過敏症」が挙げられています。
ビリルビン上昇は一過性に現れます。通常は心配ありませんが、AST、ALTの上昇を伴う場合は肝障害の可能性もあり注意が必要です。
C型肝炎治療ガイドラインへの記載
2013/11の日本肝臓学会C型肝炎治療ガイドライン(第2版)に、ゲノタイプ1の初回治療や、再燃、無効症例などに対して、発売前にも関わらず第一選択として記載されました。