ルティナス膣錠は2014年 12月5日に日本で初めて発売された不妊治療用のプロゲステロン膣錠で、1個あたり100mgのプロゲステロンが含まれています。
プロゲステロンは黄体ホルモンとも呼ばれ、妊娠継続作用があることから不妊治療では古くから使用されてきました。
プロゲステロンは内服したり注射したりするよりも、膣から投与した方が子宮内に良く分布することがわかっていますが、2014年以前はプロゲステロンを膣から投与する医薬品は国内では販売されていなかっため、不妊治療を行う病院では薬剤師によってプロゲステロン膣坐剤を手作り(院内製剤)しているケースが多くありました。院内製剤は病院によって製法が異なり、用量や材質も異なることがあるため、全国で同等の不妊治療を受けることができないという状況にありました。
このような状況のためか、当時はプロゲステロンについて海外では77%が膣から投与されていたのに対し、日本ではわずか20%にとどまっていたとの調査結果もあります。
ルティナス膣錠が発売となり、日本でもやっと製薬会社により製造された均一な製剤が不妊治療に使えるようになりました。
ルティナス膣錠の特徴と溶ける時間
ルティナスはプロゲステロンを微粒子化して錠剤にしています。
また、水分により発泡し90秒で半分程度は溶けるように設計されています。
これらの工夫により、プロゲステロンの良好な吸収が期待できます。
ただし、メーカーによれば投与して2時間程度はくすりが流れ出る可能性があるため入浴(お風呂)は避ることとなっています。溶ける時間が90秒と早いですが、すぐに全てが吸収されるわけではないため注意が必要です。
また、室温での保管が可能となっています。(薬剤師が調製した院内製剤は冷蔵庫保管であることがほとんどでした)
投与し忘れた場合
メーカーパンフレット(2019年9月版)では以下のように案内されています。
- 主治医または薬剤師の指示に従う
- 1日2回投与の方で次の投与まで2-3時間以上ある場合は忘れたことが判明した段階で投与する
- 1日2回投与の方で次の投与まで2-3時間以内の場合は忘れた分を飛ばす
- 1日3回投与の方は、忘れた分は飛ばして投与する
- 2回分を一度に投与しないこと
補助器具
膣内に挿入しやすいよう専用に器具(アプリケーター)が提供されています。通常は病院、薬局などでルティナス膣錠を受け取る際に、同数のアプリケーターが提供されます。
他の膣用プロゲステロン製剤
ルティナスは日本では最も早く発売された膣に直接使用できる不妊治療用のプロゲステロン製剤ですが、その後同様の適応を持つ製剤が発売されました。他の膣用プロゲステロン製剤としてウトロゲスタン腟用カプセル、ワンクリノン腟用ゲル、ルテウム腟用坐剤があります。それぞれ剤型が異なり使用感も違います。他の製剤をご希望の際はおかかりの病院にご相談ください。(病院によっては全ての製剤を取り扱っていない場合もあります)