消化酵素剤の効果的な飲み方


食物の消化を助ける「消化酵素剤」

人はもともと食べ物を消化する酵素を何種類も持っていて、これらは唾液、胃液、膵液、腸液などに含まれています。
口から入った食物は、胃、腸と通過する間に胃酸とこれらの消化酵素の働きによって分解されていきます。

この消化酵素をそのまま飲んで消化を助けよう、というのが消化酵素剤です。

医療用医薬品では消化酵素剤だけを複数組み合わせたものが使われており、タフマックE(小野)、ベリチーム(塩野義)ポリトーゼ(武田)などがこれにあたります。

消化酵素は市販の健胃薬の中にもよく入っています。
有効成分に「○○―ゼ」という名前の成分が入っていたら、それは消化酵素です。

消化酵素にはたくさんの種類がありますが、糖分を分解するアミラーゼ(ジアスターゼ)、脂肪を分解するリパーゼ、たんぱく質を分解するプロテアーゼなどがよくおくすりとして用いられます。

力を発揮できない消化酵素剤

ところが、これらの消化酵素たちは、それぞれ力を発揮できる最適な環境があります。
逆に言えば、最適な環境でなければ、せっかく飲んだ消化酵素も薬効を発揮できないことになります。

この消化酵素が働くための環境の条件は主に温度とpHで、それぞれ最適な環境を至適温度至適pHと呼びます。

おくすりに使われる消化酵素のほとんどは、至適pHが5~7の中性付近ですが、人の胃の中は胃酸によってpH1~2という強い酸性状態にあります。
つまり、おくすりの中に入っている消化酵素は、実は胃の中では効果を発揮できないわけです。

それどころか、悪くすれば酵素の立体構造が変化して元にもどらなくなり、薬効自体が無くなってしまうこともあり、これを失活と呼びます。

運よく失活を免れた消化酵素だけが、胃から中性の腸に移って、はじめて薬効を発揮します。

消化酵素剤を効かせるコツ

以上のことから、消化酵素剤を飲むときに、きちんと効かせるコツが考えられます。
それは、制酸薬と一緒に飲むことです。

制酸薬で胃酸を中和することで、消化酵素の働きを効果的にします。

市販の総合健胃薬ではこの制酸薬と消化酵素が一緒に入っているものが多いですが、これはとても理にかなっていることになります。

工夫された医療用医薬品の消化酵素剤

医療用医薬品の中には、大事な消化酵素が胃酸に触れることのないように、腸溶性顆粒の中に封じ込めているものがあります。

本剤はアミラーゼ,プロテアーゼ,リパーゼ及びセルラーゼ活性を有する消化酵素剤である。配合消化酵素中,中性~アルカリ性領域に活性 pH域を有する濃厚膵臓性消化酵素は胃での失活を防止する目的から腸溶性顆粒とし,酸性領域に活性 pH域を有する3種類の消化酵素は胃溶性顆粒としている。
ベリチーム顆粒(塩野義製薬)添付文書より引用

腸溶性顆粒は、胃で溶けず、腸で溶けて薬効を発揮するので、消化酵素は至適環境まで届いてからはじめて顆粒の外に出てきます。

このように消化酵素の多くは胃酸で効果が弱くなったり失活してしまいます。
消化酵素剤を飲んでいるけれど、胃もたれなどの症状がいまいち改善されないという方は、併せて制酸剤を飲むことをお勧めします。

また、制酸剤(酸化マグネシウムや乾燥水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウム配合剤など)の内服が適さない方もいますので自己判断ではなく医師、薬剤師に相談するとよいでしょう。