セフトリアキソンNa(CTRX)(先発商品名:ロセフィン、中外製薬)特有の副作用として偽胆石症があります。
発生頻度は15~46%とされています(報告によって差あり)。
発生機序
セフトリアキソンNa自身が胆嚢内で結晶となり発生します。
セフトリアキソンNaは尿中に40~50%が排泄されますが、残りは胆汁から糞便排泄されていると考えられます。この際、胆汁でのセフトリアキソンNaの濃度は、血中濃度の20~150倍と報告されています。
セフトリアキソンは2個のNa+と結合してナトリウム塩となっていますが、これが1個のCa++と置き換わることで不溶性のカルシウム塩になると考えられます。
症状
腹痛が主訴になります。
また、胆石症から胆嚢炎、胆管炎、膵炎等を発症することもあります。
診断
単純CTで高吸収領域として現れます。
対処
投与を中止し速やかに腹部超音波検査等を行い適切な処置を行う必要があります。
投与の中止により胆石の消失が期待されますが、消失しない場合や症状が激しい場合などは外科的処置が必要になることもあります。
リスクファクター
- 小児
- 高用量
- 長期投与
- 絶食
- 脱水
- 高カルシウム血症
関連事項
セフトリアキソンNaの結晶化については、Caを含む輸液などとの関連が示唆されています。
添付文書上も「カルシウムを含有する注射剤又は輸液と同時に投与しないこと」となっており、これは国外において新生児にセフトリアキソンNaとカルシウムを含有する注射剤又は輸液を同一経路から同時に投与した場合に、肺、腎臓等に生じたセフトリアキソンを成分とする結晶により、死亡に至った症例が報告されているためです。