アスピリン原末を一般的な装置瓶で保管するとかえって良くないということは薬剤師の間でもあまり知られていないように思います。
なぜ良くないかというと、アスピリンは中途半端に栓をすることでかえって分解が早まることがあるからです。
原理
アスピリンはアセチルサリチル酸の別名です。
柳の葉に含まれるサリチル酸に解熱・鎮痛作用があることはかなり昔から知られていまいた。
このサリチル酸の水酸基をアセチル化することで副作用を軽減したのがアセチルサリチル酸、つまりアスピリンです。
逆に言えば、アスピリンはサリチル酸と酢酸に分解するということになります。
この分解は割と簡単に起こり、例えばアスピリン原末を軽くすり潰すだけですぐに酢酸のすっぱいにおいがしてきます。
また、湿気によって徐々に分解することも知られています。
この分解で生じた酢酸の作用でアスピリンの分解が更に早まります。
湿気が入り込み、かつ酢酸が抜けない程度に栓をすると、分解で生じた酢酸濃度がビンの中で高まり、アスピリンの分解をどんどん促進することになります。
これがアスピリンを中途半端に栓をして保管することが良くない理由です。
対策
では開放した状態で保管すれば良いかというと、それも良いとは思えません。
アスピリン原末の保管に装置瓶を使用するのであれば乾燥剤を入れるなどして保管するのが良いと思われます。
一部の医療用アスピリン製剤の添付文書にもそのように記載されています。