オーソライズドジェネリックをめぐる最近の動きをまとめてみました。
バルサルタンのオーソライズドジェネリック
先発品ディオバン(ノバルティス)は臨床研究の問題などが噴出したものの、売上高900億円超という大型品です。
特許期間終了にともないその動向が注目されましたが、ノバルティスは子会社サンドを通じてオーソライズドジェネリックを販売することを選択しました。ノバルティスが問題の渦中であることと、その子会社サンドであること、また、サンド社が過去オメプラゾール注のようにジェネリック医薬品の国内在庫枯渇といった問題を起こしていることもありどうなるかと思われましたが、ふたを開けてみればこのサンド社のオーソライズドジェネリックが現在シェアトップの様子です。
カンデサルタンのオーソライズドジェネリック
ブロプレス(武田)も、その子会社あすか製薬を通じてカンデサルタンのオーソライズドジェネリックが販売されます。あすか製薬のオーソライズドジェネリックが2014年9月の発売、その他の通常ジェネリックが恐らく12月の発売になりそうですから、その差は3か月です。
ところで武田はこの動きよりも前にアジルバ(アジサルタン)という新ARBを販売開始しています。
武田はこのアジルバをブロプレスの後継という位置づけでプロモーションしており、ブロプレスからアジルバへの切り替えを進めています。
後継先発品への切り替えを進めつつ、残ったブロプレスをオーソライズドジェネリックとする。このあたり、さすが国内トップと言わざるを得ないしたたかさを感じます。
発売されなかったリバロのオーソライズドジェネリック
2013年、興和はテイカ製薬を通じてピタバスタチン(リバロ)の承認を取得しました。
これにより興和は日本発のオーソライズドジェネリックを手掛けることになると思われましたが、その後、薬価収載の希望申請自体がが行われませんでした。
開発の経緯や薬価収載しないことについて興和側はコメントを控えているため詳細は不明ですが、何らかの経営判断があったものと思われます。
フェキソフェナジンのオーソライズドジェネリックと訴訟
2012年にフェキソフェナジン(先発品アレグラ:サノフィ)のオーソライズドジェネリックが、日医工とサノフィの合弁会社「日医工サノフィ」からフェキソフェナジン塩酸塩「SANIK」として発売されました。オーソライズドジェネリックですので、先発品の持っている適応全てをカバーしての発売です。
同年8月、エルメッドエーザイ、小林化工、大正薬品工業の3社が、一足遅れてフェキソフェナジンジェネリックの製造販売承認をフル適応で獲得しました。
これに対し、2012年10月、サノフィは3社に対して特許権侵害差止を求める訴訟を起こします。適応の一部はまだ特許権が残っているというのがサノフィの主張でした。
2014年になり無償で全適応を認める、という形での和解となりましたが、未だに小林化工のフェキソフェナジンが発売されていないのはこの訴訟の影響とみるのが妥当でしょう。
この件は先にオーソライズドジェネリックがフル適応で承認を取得していたことが一因と考えられます。