プラリアの添付文書が改訂となりました。
新しい添付文書では、低カルシウム血症への対応についての記載が変更となっており、具体的には
- 本剤投与開始前に血清補正カルシウム値を確認する
- 低カルシウム血症のある患者は、本剤投与前に低カルシウム血症を治療する
- 本剤投与により低カルシウム血症があらわれることがあるため、血清補正カルシウム値が高値でない限り、毎日カルシウム及びビタミンDの経口補充のもとに本剤を投与する
となり、同一成分薬の「ランマーク皮下注」に準じた内容になりました。
そもそも発売当初はこの辺りの記載が薄く、「同じ成分のランマークの死亡例でブルーレターまで出ているのに大丈夫なのか?」と思ったのが正直なところです。
また、プラリアのインタビューフォームについては、日本病院薬剤師会のインタビューフォーム検討会でこのように指摘もされています。
概要に関する項目に、本剤の投与により、重篤な副作用である低カルシウム血症が報告されていること、同一成分を含有する薬剤ではブルーレターが発行されていることが明記されていない、本剤の安全な使用に必須となる特長が記載されていない
要は、注意喚起がたりないのでは?ということです。
このあたりはプラリアの資料を最初に見た時点で感じた疑問だったので、すぐにMRに確認しました。
「低カルシウムに対してこの対応で大丈夫なのか」
の問いに対して、
「プラリアはランマークに比べて使用量が非常に少ないので、そこまでの注意は必要ありません」
との返答でした。
そして、発売後ちょうど5ヶ月というこのタイミングでの添付文書改訂、そして、改訂理由は自主改訂です。
モヤモヤとした疑問
あくまで私の想像ですが、メーカーとしてはプラリア皮下注を医師、病院に売り込みたいというのが根底にあって(それは全く問題ないのですが)、だけど添付文書にあまりにも厳しい注意喚起が記載されていると使ってもらえない。
そこで、発売当初は注意喚起の記載を抑えめにしておく。
そして、発売からある程度日が経って、多数の病院に採用してもらえた時点で、注意喚起を厳しくする。注意喚起が足りなくて患者さんに何かあった場合、メーカーの責任も問われますからね。
そんな患者を置き去りにした利己的な構図が見える気がします。