注射薬には末梢静脈から投与できるものもあれば、中心静脈(CV)から投与しなければいけないものもあります。
例えばガベキサートメシル酸塩(FOY)は、血管障害を避けるため本来2mg/mL以下の濃度で静脈から投与しなければなりませんが、INを絞らなければならないDIC患者さんの場合、2000mg投与時の輸液1000mLはどうしても負担になってきます。
そのため、実臨床では2000mg/50mLといったような超高濃度で調製したガベキサートを血流が多くて血管障害が起こりにくいCVから投与する、といったことが行われています。
そして、標題の「本来CVから投与すべき注射薬をバスキャスから投与して良いか?」という問題になるわけですが、これは概ね「良い」、ということになります。※注意点参照
バスキャスは大量の血液を扱っている
そもそもCVから投与すべき理由とは、「血管障害が起きやすい薬剤のため、血流が多くて速く、壁の厚い血管から投与する」ためです。
バスキャスは、透析で大量の血液を脱血・返血するために用いるものです。
そのため、バスキャスのカテーテル先端は、血流が大量に、速く流れている血管に留置されていますので、CVルートと同様に考えて差支えないと考えられます。
注意点
本記事で例に挙げたガベキサートの超高濃度投与は、製造メーカーが「CVであれば2mg/mL以上の濃度で投与できる」と保証しているわけではありません。臨床で行われているとはいえ、あくまでメーカー非推奨の濃度ということになります。
ガベキサートに限らずですが、そのような薬剤をバスキャスから投与すべきかどうかは、医師を含めた医療スタッフ間で検討し、共有した上で決定すべきでしょう。